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  • 執筆者の写真中山 孝一

それからの「ひとり旅教育」

更新日:2020年5月20日

 昨年11月思い切ってオーストラリアに妻と旅行した。長女の美華子と三男の潤也がいるところへ

二人のことを書いた「ひとり旅教育」が2013年だからあれから6年経った。あれ以来二人のそれぞれの「ひとり旅」は続いている。美華子がアメリカを2年間経験し、いったん沖縄に帰るも2年も経てばまたまた体がうづいたのか今度はオーストラリアに行った。2年になる。その間もタイ、台湾、ドイツ、スペイン等をまわっている。その後潤也が同じくオーストラリアにいった。

 僕が皆に「ひとり旅」をすすめ、それぞれが実行しているが、肝心の僕はいっこうにその実行には至らなかった。なぜか、飛行機が苦手なのである。2時間ほどの国内線でも精神安定剤といってはワイン一本持ち込み、離陸と着陸時には絶対に必要なんだと決め込み飲んでいた。

 5時間以上の飛行はまず無理と思い込んでいた。それが、知人の同じく飛行機嫌いの仲本氏の話で一転した。氏曰く「睡眠誘導剤でオーストラリアへ行けた、楽勝だった。」と

 今、あの「ひとり旅・・・」を読んでみると、こう書いてある。「旅は人を大きくさせる。ひとりで旅をするとき全て自分の裁量にかかる。できないものが見えてくる、それをできることに転換しようと思う。その連続で成長していく、人間は結局ひとりなんだと気づく・・・それが大事、責任が生まれ、自己責任で行動する。」なんて、偉そうなことを書いてある。

 書いた以上本人がまずこのことを実証せねばとオーストラリア行きを決断する。5月に飛行機の手配等を終了。後には引けない、その後自分なりに訓練をいくつか、まず英会話、北谷あたりの外人に手当り次第話しかけたり、飛行訓練だと神戸へ一人行き、そこの外人をせめたりと、それなりに頑張った!

 そして主治医にはは血圧の薬に加え睡眠誘導剤の処方も忘れずにお願いした。

 そして、その日が来た。運命の11月が、那覇から成田へ、オーストラリア行きまで5時間ある。余裕と思っていた。ところが、こんなこともあるんだという超不測の事態が・・・

 先にチェックイン済ませようと思い余裕を持ってカウンターに行った。ところが女子職員から思わぬ言葉が、「お二人ともビザがありません、これでは入国できません」だった。これには二人とも「?」

 ビザのことなんて誰にも聞いていない、突然頭が真っ白になる。これから手続きなんて無理に決まっている。考えることは、周りに散々海外行くと自慢げに言いふらしたこと。もしこれで行けなければ、一生ものの恥だ。東京に二週間潜んでいようか、とかマジ考えた。

 しかし、ここは冷静にと腹をくくる。だが職員から手渡された手引書を見てもパニック状態から抜け出せないので目に入らない、が、さらに覚悟を決める。ここで、「ひとり旅・・」で伝えたメッセージ「旅は人を・・・云々」を思い出してなんとか切り抜けた、といえばかっこいいが、実際はとんでもない慌てぶりだった。カウンター前の人混みの中、地べたに座り込み、前にはパスポート、カード、その他の書類を並べ、ひたすらスマホと格闘する。スマホの小さい字がますます見えない、太い指が焦りを加えてポイントにヒットしない、時間はどんどん経過する。なんども何度もエラーとの格闘が続く・・・そして、どれだけの時間がかかったろうか、なんとかすべてクリアーできていた。

 やるだけやった。二人のすべてのミッションは果たした。あとはカウンターでの判断を待つのみ、ダメならダメ、と開き直った。結果、大逆転。余裕で並んだ列は僕ら二人だけだった。

 期待した機内での飲み放題はなかったが、オーストラリアのワイン、大好きなシラーズを何本も飲み干した。そしてぐっすり眠った。誘導剤は必要なかった。起きたら午前4時のオーストラリアだった。





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