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うつわの力

  • 執筆者の写真: 中山 孝一
    中山 孝一
  • 2024年11月7日
  • 読了時間: 2分

 2年前思わぬ大病にかかり入院を余儀なくされた。3ヶ月の間病院と自宅との生活が半々となり、その度に慌ただしい環境の変化にかえって病状が悪化するのではと不安な日々を送っていた。特に大きな変化は毎日の食事だった。病院では朝昼晩の食事だけが楽しみだよ、あとすることないから、と先輩諸氏からのご教示をいただいたので楽しみにしていた。ところが、入院初日からの食事に面食らった。大ぶりのプラスチックの器に大量に詰め込まれたものが3品ほど・・。しばらく箸をおいてトレーを眺めるしかなかった。


 こうした食事が毎日朝昼晩続きうんざりしていた。栄養士や調理人が一所懸命患者のために作っていることに有り難いとの気持ちはもちろんあった。味も決して悪くはない、しかし、もう一工夫あればもっと楽しめるのになーとベッドの上で頭をかかえていた。そもそも入院患者は動くことがないので腹は空かない、食欲も湧かない、しかし、食べることは強要される。これはかなりきつい仕打ちとなるのだ。そこで考えたのが、盛り付け方だった。

 

 そんな時期、小桜では3回目の「深貝工房展」が開かれていることを思い出した。間髪入れずに家人に電話。深貝工房の小ぶりの作品を多めに仕入れるように、と頼んだ。

 その後、一時退院の時が来て早速自宅での食事の風景を変えたみた。全ての食材を購入した小ぶりのうつわに少量盛り、品数を多くした。これだと何を食べているかわかるし、味を確かめられ、何よりも深貝工房の斬新なうつわが食をより豊かにした。ゆったりとした食事は久々の至福の時間だった。病院にいるよりも、これが何よりの治療だと思った。


 大病してはじめて気づくことは多い。あの日以来食事に関しての考え方や摂り方が変わり、我が家の食卓の風景が大きく変わった。食を取り巻く環境はとても大事なことがわかったのだ。                

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 そんなことを気づかせた「深貝工房」の展示会が今年も行われる。今年は新店舗の「MUMU]で11/8・9・10の開催。年々新しいことに挑む深貝氏の情熱に満ちた作品は今年も大いに期待が持てる。今回は大ぶりのものをめざして!

 



 



 
 
 

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