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  • 執筆者の写真中山 孝一

ぼくと泡盛 8

 パソコンが今の生活に必須のツールになる前はワープロ機というものが欠かせなかった。初めてワープロ機を使った時、美しく印字されて出てきたA4用紙には感動したものだ。そのワープロを細工すれば通信機能が付いていることがわかった。「ワープロ通信」とか「パソコン通信」といわれていた。今では懐かしいがインターネットが始まる前は知る人ぞ知る世界で、あれはあれでなかなか面白いものだった。それ以前はアマチュア無線なるものも大流行りしていたなー。いま、周りに見えるものすべてが、当時と比べて技術の進歩に眼を見張るものがある。まだ30年も立っていないのに、これもまだ一過程なのか。ただし、それがいいか悪いかは人間が正しく使いこなせるか否かの話だが・・・  

 そのワープロ通信だが、せっかく通信できるのであればそれを生かせないかと考えた。その時分泡盛に関心を持ち出していた。そうだ!泡盛についてのことを発信しようと考えた。

 ワープロ通信というのは色々約束事が多く、まずホストサーバーを選ぶ、そこを通してしか通信できない仕組みになっている。そのホストを富士通が運営している「ニフティサーブ」というものにした。その中のコンテンツの一つに電子会議室というものがあった(今流行りのWEB会議とは全く異にする)。同じ趣味の人らがワープロ上で語り合うというオタク集団の会議室というか、その中に、”日本酒・焼酎の会議室”というものを見つけた。お酒の大好きな集団の会議室だ、さすがに一家言もった連中ばかりだ。

 各蔵元を見学するたびに泡盛日誌なるものをつけていた。それを「泡盛工場見聞録」というテーマで、この会議室に発信できれば泡盛の認知度も少しは上がるのではと期待した。

 最初の見学先は「識名酒造(時雨)」だった。当時のノートを見ると、興奮している様子が汚い字で描かれている。運良く発酵中のタンクに出くわし一番息づいている頃だったのか、「泡のぶくぶくに微生物の息づかいを感じ、なんとも言えない神秘性に時間を忘れるぐらいタンクに張り付いた」とある。その後も、次々に見学した蔵元の様子を発信していった。

 ところが、今思うと赤面のはなしだが、その電子会議室にもルールがあった。それは、適当な文面でやり取りを行なわないといけないこと、あくまでも会議なのだ。それを知らないぼくは適当ではなく、長文をだらだらと書いていたのだ。それは、他のメンバーが会話している間に無理やり入り込み、勝手に一人で演説を始めたようなものだ。思い出しても恥ずかしいことこの上ない、その後すぐさま詫びを入れた。

 しかし、その会議室のシスオペ(システムオペレーター、会議室の運営者)の方の、投稿を楽しみにしているからこれからも発信してください。という優しいメールに救われた。だが、それ以来投稿は遠慮した。

 しかし、この発信のために各蔵元をまわるところから、次の展開を考え始めた。それは、沖縄観光に泡盛をつなげられないかという発想だった。

 本土からの観光客が増え始めた頃だった。本島のみならず八重山、宮古、久米島ら離島へのコースもあった。それならば、各地にある「泡盛工場を訪ねよう!」というコースも加えていいのではないか、さらに「全島46泡盛蔵をめぐるスタンプラリー」ということも行い、全スタンプを集めれば、何十年物かの古酒(クース)甕をプレゼント!なんてことも考え、勝手に夢をふくまらせていた。  つづく


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